2018年1月19日 (金)

登山靴の漏水?結露?

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登山靴の中がびしょびしょに濡れてしまったということで漏水検査をお受けすることがたまにございます。

歩いている最中に靴の中がびしょびしょ…幸い筆者自身は経験がございませんが、非常に楽しくない思いになるのは想像に難くありません。

登山靴の中がびしょ濡れになる原因には大きく二つ考えられることがあります。

一つ目は、外からの漏水です。

二つ目は、中での結露です。

(多汗症のような身体的要因も考えられますが今回は靴が原因の場合を取り上げます。)

前者は、防水透湿フィルム(ゴアテックスなど)がブーティタイプでないシューズで渡渉した場合や、靴の防水透湿フィルムが破損している状態で外側から雨などにさらされた場合に起こります。

また、ソール張替経験のある靴でも起こりえます。ソール張替は、非常に強力な接着剤で付けられている元のソールを剥がしてから接着しますので、防水透湿フィルムがどうしてもダメージを受ける可能性があるわけです。

防水透湿フィルムが破れていれば、漏水検査時にはっきりフィルムの破れと結果が出ます。

そして後者ですが、こちらがなかなか予期しにくいもので、防水透湿フィルムの透湿性が低下している時に汗をかき続けた場合に起こりやすくなります。この場合にはフィルムの破れが原因ではありませんので、漏水検査に出しても白です。

防水透湿フィルムの透湿性の低下は、靴の表面や防水透湿フィルム自体が泥やほこりで汚れている状態などで起こります。防水透湿フィルムは、内部からの蒸れを逃がすため、外からの水は通さないが内からの水蒸気は通す大きさの超微細な孔があいています。しかし表面が塞がれていると、水蒸気は外に出ることができません。

もしくは靴の撥水性が低下している状態で、雨の中歩き続けた場合、表の革や生地が水分を含み、それが透湿機能を阻害している可能性があります。

透湿性が発揮されていない場合、かいた汗が蒸気となって靴内部の上方に向かっても、フィルムを透過できないのでそこに蓄積されていきます。そしてある程度大きな水滴になったところで、上から足に向かってジャバっとなるわけです。

足は体の他の部分よりも4~5倍ほど汗腺がありますので当然発汗量が多く、上記の現象が起こる可能性は十分にあるかと思います。

漏水検査で白だった場合に、かいた汗が原因として考えられますとご説明させていただくのは、この内容であることがほとんどです。

これでしたら、ひんやりした水でびしゃびしゃになってしまったことにも説明がつくのではないかと思います。

購入直後の登山靴に撥水スプレーが有効なのは、おいおい結露しないためです。

まとめますと、漏水は防水透湿フィルムの破れから起こる場合が多いです。

結露は、靴の汚れなどから起こることが多いです。

どちらかが原因で、靴の中がびしょびしょになることが多いというのが、筆者の見解です。

漏水検査で黒なら靴の新調、白なら念入りに再度メンテナンスして、それでもダメなら靴の新調という運びでしょうか。

非常に長くなってしまいましたが、この記事が原因のよく分からないびしょびしょ現象に悩んでいる方のヒントになればと思います。

結露に関する記事として、好日山荘ガイドコラムに、加藤ガイドの記事がありましたので掲載します。

靴のことまで言及している記事ではありませんが、参考になるかと思います。

http://guide-column.hatenablog.com/entry/post_365

最後に、グランジャーズのサイトにわかりやすいメンテナンスの動画がありましたので掲載させていただきます。

https://www.caravan-web.com/maintenance/shoe/

購入直後からメンテナンスを開始して、快適な登山ライフを!